経営者が変われば、組織は変わります
私は、悪い口コミが続いている医療機関を分析するとき、スタッフだけを見ることはありません。
まず経営者の考え方や組織の仕組みを見ます。
なぜなら、現場で起きていることの多くは、組織の文化が表れているからです。
スタッフは、その医院の理念や仕組みの中で仕事をしています。
患者様への声掛けが不足しているのであれば、それは個人の能力だけの問題ではないかもしれません。
説明不足が繰り返されているのであれば、十分な時間を確保できない予約体制に原因があるのかもしれません。
受付の対応に余裕がないのであれば、人員配置や業務量に課題がある可能性もあります。
つまり、現場で起きている問題の多くは、経営の課題でもあるのです。
だからこそ、私は「スタッフ教育だけ」で口コミを改善しようとすることには限界があると思っています。
本当に必要なのは、スタッフが患者様に誠実な対応をしたくてもできない状況をなくすことです。
良い組織は、良い人材だけではつくれません
「もっと良いスタッフが来てくれれば。」
そのようなお話を伺うことがあります。
もちろん、人材はとても重要です。
しかし、優秀な人材だけを集めても、仕組みが整っていなければ長続きしません。
反対に、仕組みが整っている組織では、人は安心して成長することができます。
新人スタッフでも、迷わず患者様をご案内できる。
困ったときには相談できる。
失敗しても責められるのではなく、一緒に改善策を考えられる。
このような職場では、自然と患者様への対応も安定していきます。
私は、人は管理されるために働くのではなく、それぞれの強みを生かして協力するために働いていると思っています。
だからこそ、組織づくりも「管理」ではなく「支える」という視点が大切です。
患者様に安心を届けるためには、まず働く人が安心できること
私は、患者様に安心を届けたいのであれば、まず働くスタッフが安心して働ける環境を整えることが必要だと思っています。
疲れ切った状態では、笑顔で接することは難しくなります。
常に時間に追われていれば、丁寧な説明をする余裕も失われます。
人手不足の中で休憩も十分に取れなければ、小さなミスが起きる可能性も高くなります。
これはスタッフの努力不足ではありません。
経営として向き合うべき課題です。
患者様へのサービス品質と、スタッフが働く環境は切り離して考えることはできません。
どちらか一方だけを改善しても、本当の意味で良い医療機関にはならないでしょう。
だから私は、持続可能な経営を大切にしています。
無理を続ける経営ではなく、無理をしなくても誠実な医療を提供できる仕組みをつくることが、結果として患者様の満足にもつながると考えています。
信頼は、日々の積み重ねの先にあります
医療機関の評判は、一つの出来事だけで決まるものではありません。
毎日の診療の中で積み重ねられた小さな安心が、やがて大きな信頼になります。
その信頼は、口コミとなって広がり、紹介となって地域へ広がり、長く選ばれ続ける医療機関の土台になります。
私は、「近道」はないと思っています。
派手な広告よりも、一人の患者様への誠実な対応。
一時的な評価よりも、長く続く信頼。
その積み重ねこそが、医療機関にとって最も価値のある財産です。
だからこそ、悪い口コミが生まれにくい仕組みとは、口コミだけを見る仕組みではありません。
患者様を理解し、働く人を大切にし、改善を続ける文化を育てる仕組みです。
その文化が根付いた医療機関は、時代が変わっても、地域から信頼され、患者様に選ばれ続ける存在になっていくと、私は信じています。


