「口コミ対策」を目的にしないことが、結果として口コミ対策になります
私は、医療機関の皆様とお話しする中で、「悪い口コミをなくしたい」という言葉をよく耳にします。
そのお気持ちはよく理解できます。
しかし、その考え方だけでは、本当の意味で口コミの問題は解決しないと思っています。
なぜなら、目的が「口コミを減らすこと」になってしまうと、どうしても目先の対応ばかりに意識が向いてしまうからです。
低評価が付けば削除を考える。
クレームが来れば、その患者様だけに対応する。
スタッフに「気を付けるように」と注意する。
もちろん、これらも必要な場面はあります。
しかし、それだけでは同じことが繰り返される可能性があります。
私は、「口コミを減らすこと」ではなく、「患者様に安心していただける医療機関をつくること」を目的にした方が、結果として悪い口コミも減っていくと考えています。
目的と手段を間違えないことが、とても大切です。
医療は技術だけでは評価されない時代です
医療機関として最も重要なのは、当然ながら安全で質の高い医療を提供することです。
しかし、患者様は医療技術だけを評価しているわけではありません。
予約の取りやすさ。
受付での第一印象。
待ち時間への配慮。
説明の分かりやすさ。
質問しやすい雰囲気。
会計までの流れ。
これらすべてを含めて、「この医療機関に通って良かったかどうか」を判断されています。
つまり、患者様が評価しているのは「診療」だけではなく、「体験全体」です。
だからこそ、経営者は医療だけを見るのではなく、患者様が来院してから帰宅するまでの体験全体を設計する必要があります。
この視点を持つだけでも、多くの改善点が見えてきます。
仕組みは改善し続けることで価値を持ちます
どれほど優れたマニュアルを作っても、一度作っただけでは十分ではありません。
社会は変わります。
患者様の価値観も変わります。
スタッフも入れ替わります。
だからこそ、仕組みも成長し続ける必要があります。
例えば、毎月一度、患者様からいただいたご意見や口コミを振り返る時間を設けるだけでも、多くの気付きがあります。
「このご意見は今回だけだったのか。」
「同じ内容が何度も出ていないか。」
「改善した結果、同じご意見は減っているか。」
このように継続して確認することで、改善は一時的なものではなく、組織の文化になっていきます。
そして、その文化が根付いた医療機関は、患者様からの信頼だけでなく、スタッフからの信頼も得られるようになります。
信頼は一日では築けません
信頼は、広告で買えるものではありません。
一度のキャンペーンで得られるものでもありません。
日々の小さな約束を守り続けること。
誠実な説明を積み重ねること。
患者様の声に耳を傾けること。
その積み重ねによって、少しずつ育っていくものです。
そして、その信頼こそが、医療機関にとって最も大きな財産になります。
私は、口コミとは、その財産の一部が目に見える形になったものだと考えています。
だからこそ、数字だけに一喜一憂する必要はありません。
一つひとつの患者様との出会いを大切にし、改善を続けていけば、その積み重ねは必ず地域からの信頼につながっていきます。
私たちが「クチコミ研究®」を続けている理由も、そこにあります。
悪い口コミを責めるためではありません。
患者様の本音を知り、その声から学び、医療機関がより良くなるきっかけをつくりたいのです。
「知らないだけで損をする医療機関を減らしたい。」
この想いは、これからも変わることはありません。
患者様に安心を届けること。
医療従事者が誇りを持って働ける環境をつくること。
その両方を実現するために、私たちはこれからも、患者様の声と真摯に向き合いながら、医療機関の皆様を支援してまいります。

